一貫性とは?【結婚式の費用は見積り額+85.2万円】身近に存在する事例を解説

知識本

  • 結婚式の見積り金額ってなぜオーバーする?
  • 支持政党調査の電話は、なぜ選挙前にかかってくる?
  • どうして高齢者は詐欺に騙されやすい?

「なぜか分からないけど、どうしてそうなるの?」と思うようなことは、世の中にたくさんあります。

結婚式の費用は、当初の見積り額よりも高くなる傾向があります。これは一貫性の原理である「段階的要請法」が関係しています。

 

私は2003年に結婚、名古屋駅前にあった高砂殿ザ・グランドティアラで結婚式を挙げました。

結婚式を準備していた当時、普段の生活とはまるで違う金銭感覚になってしまいました。

打合せで飛び交う何十万円という金額に対して、数万円がとても安く感じたことを今でも鮮明に覚えています。

 

この記事では、一貫性の原理について身近に存在する事例を交えながら分かりやすく解説をします。

この記事を読めば、一貫性の面白さや恐ろしさを理解することが出来ます

私もこの記事の内容を読んで、人の深層心理を理解することが出来ました。

自分が納得できる金額で、結婚式を行ってみませんか

ぜひ最後までご覧ください!

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1. 一貫性とは何か?

直線道路

一貫性とは「自分が既に行なってしまったことを一貫していたい、そして自分が一貫していることを他者から認められたい」という目には見えない圧力のことです。

一貫性は、広辞苑(第七版)によれば「始めから終りまで一つの考えで貫き通していること」とあります。

一貫している人は合理的で信頼できる健全な人だとみなし、一貫していない人は優柔不断で信頼できない不安定な人だとみなされます。

人は、一貫している人になりたいし一貫していると見られたいのです。

 

自分の決断を正当化して行動し、自分は正しい判断をしたと言い聞かせるだけで、自分の決定に対する満足度が上がっていきます。

一貫性を保つのはとても心地よく、考え続ける辛さから逃げることができるので、楽に生きる事ができます。

 

一貫性を保ちたいという思いは人の行動を動機付けする力の一つとなります。

心理学では一般的な話なんです!

 

気を付けないといけないのは「自分の決断は何が何でも正しい」という思いの強さから、自分自身を騙して自分の不利益となる行動をしてしまうことです。

そうならない為には、今の知識を持ち合わせたまま過去にさかのぼる事ができたとして「果たして自分はまた同じような立場をとったり、公言(コミットメント)したりするのだろうか」と自問自答をしてみてください。

その行動は間違っていた、と気付くことができます。

1-1. 一貫性の原理 例:花火大会での出来事

花火大会

良く晴れ渡った夏の日、近くの河川敷で年に一度の花火大会が行われました。

場所取りのため2時間前に現地へ到着し、準備をしていました。

 

すると隣にいた母親が、子供に留守番をするように言い聞かせて買い出しに出かけて行きました。

ここで待っているのよ!

ところが暫くすると、その子供は母親を追いかけるようにその場を離れてしまいました。

さて、あなたならその時どのような行動をしますか?

  • その子供は母親の方に向かったので、なんとか合流できるだろうと思ってそのまま見届けた。
  • 大勢の人がいる中でもし迷子になってしまったら大変なので、子供に声をかけてその場で待つように説得した。

 

ここでシチュエーションを少し変えてみます。

隣にいた母親が、子供に留守番をするように言い聞かせて買い出しに出かける前に、あなたに「すみません、子供を少しのあいだ見て頂けませんか?」と頼み事をします。

暫くするとその子供は母親を追いかけるようにその場を離れようとしました。

さて、その時あなたならどのような行動をしますか?

 

②を選択する気持ちが強くなった!

あなたに対する母親からのコミットメントに加えて周りの人達から注目されていることで、一貫性の原理である「自分が一貫していることを他者から認められたい」という目に見えない圧力の働きかけにより、②を選択し易くなったのです。

1-2. 一貫性の原理 例:期間限定商品のからくり

プレゼント

一貫性を保つことはとても心地よく、考え続ける辛さから逃げることができて楽に生きられます

これを利用した売り手側のテクニックを感じ取ることができるお話しです。

 

あなたはお付き合いをしている女性から、クリスマスプレゼントとして期間限定商品の購入をお願いされました。

その商品を売っているお店に行きましたが、期間限定ということもあり、とても人気があって売り切れていました。

仕方なく同じ価格設定の類似商品を購入して、女性にプレゼントをしました。

 

2ヶ月後、期間限定の同じ商品がその店でまた売り出されていました。今度は無事に購入して女性にプレゼントをすることが出来ました。

 

場面を振り返ると、あなたはお相手の女性から期間限定のクリスマスプレゼントの購入をコミットメントされました。

もしその時、お店が期間限定商品を少ししか店頭に卸していなかったとしたら•••。

え、そんなのあり?!

 

そのお店はクリスマスシーズンを過ぎた後の売上げ減少に悩んでいたので、クリスマス2ヶ月後にもう一度期間限定商品を販売しようと元々決めていたのです。

あなたは一貫性の原理の働きかけによって、本来は買う予定のなかった類似商品も購入することになってしまいました。

これは非常に良く考えられた売り手側の販売テクニックです。

2. コミットメントの力

指切りげんまん

一貫性を保ちたいという思いは、人の行動を動機付けする力の一つです。

一貫性が生み出される要因が、コミットメント(立場を明確にしたり公言したりすること)になります。

 

コミットメントと一貫性の原理が一致すると、自然と強力な働きかけが発生します。コミットメントは様々な場面で利用されています。

代表的な「段階的要請法」と「承諾先取り法」について、例を交えてご紹介致します。

2-1. コミットメント 例:結婚式にかかる費用

書類に署名

結婚式には多くの費用がかかります。

挙式・披露宴・ウェディングパーティの総額は2020年度の全国平均で292.3万円となっています。(出典:「ゼクシィ 結婚トレンド調査2021調べ」全国(推計値))

高いですねー。

挙式・披露宴会場から最初に出される見積書は、必要最低限の項目のみ入っているのが一般的です。

結婚式の準備を進めるにつれ変更や追加が行われ、当初の見積り額よりも大幅に予算オーバーすることが多いです。

全国推計値で、当初の見積り額より上がった金額は85.2万円となっています。(出典:「ゼクシィ 結婚トレンド調査2021調べ」全国(推計値))

結婚式の費用に関する詳しい内容は、以下で解説をしています。

▶️ これだけ必要!結婚式の費用は292.3万円【誰でもできる節約方法を徹底解説】

一貫性の原理からすると、最初に出された見積内容で自分自身が理解・納得(第1のコミットメント)し、その後お心づけ・引き出物・会場装飾・衣装などの変更や追加が行われます。

段階的に費用が大きくなり、それら内容について一つ一つ自分自身が理解・納得(第2・第3のコミットメント)していく事になります。

最初に低い金額でコミットメントした後、段階的にそのコミットメントを強めていくことで、より大きな要求を自分自身が認めていくという状態になります。

これが「段階的要請法」です!

 

自分が決断したことを正当化し、自分は正しい判断をしたと言い聞かせる事によって満足度は上がっていきます。

挙式・披露宴会場から最初に出される見積書内容が、必要最低限なのは理に叶っています。

見積書の内容を検討する際は、総額に惑わされず一つ一つの項目が必要かどうかを確認して、優先順位をつけながら取捨選択していくことが大切です。

2-2. コミットメント 例:選挙前の支持政党 調査電話

選挙箱

以前、衆議院選挙が行われる直前に、NHKから支持政党の調査電話がかかってきました。

面倒と思いつつ支持する政党を答えたのですが、質問の中に次のようなものがありました。

あなたは、投票日には必ず投票に行きますか?
はい、行きます。

 

私は選挙権を得てから、全ての選挙で投票をしています。

選挙結果は普段の生活に少なからず影響があると思うので「はい、行きます」と答えました。

 

一貫性の原理からすると、「投票日には必ず投票に行きますか」と聞かれて「はい、行きます」と答えたことで、私自身コミットメントした事になります。

これが「承諾先取り法」です!

NHKが大勢の人にこの質問をして、「投票に行きます」というコミットメントを引き出すことができたら、間違いなく投票率は高くなるでしょう。

 

「承諾先取り法」の恐ろしいところは、自分にとって有利な条件を提示されて、こちらが買う意思を表明し仮契約した後に、本契約までの間で元々自分に有利だった条件を取り除かれてしまうという事です。

高額な情報商材の購入を強引に迫られて断れないという事象に巻き込まれないように、自分自身の守る力を高めていくことが大切です。

2-3. コミットメント 例:高齢者が詐欺に騙される

コンピュータのハッカー

高齢者が詐欺に騙されて多額の被害をこうむる事件が後をたちません。苦労して貯めた財産を騙し取られてしまうことに、とても胸が痛みます。

一貫性の原理からすると、自分のこれまでの発言や行動の一貫性を保とうとする欲求に加えて、「50歳以上の人」と「個人主義者」は自分がコミットメントした影響をとても受け易くなっています。

一貫性へのこだわりは年齢を重ねれば重ねるほど強くなる傾向があります。

それに加えて個人主義者は次の自分自身の行動を決める時には、今まで自分が決定してきた事に基づいて行動をします。

従って高齢者は、些細なコミットメントをしてしまった後に、段階的な理不尽な要求に応えていってしまう事が起こり得るのです。

周りの状況が見えなくなり、自分の行動を客観的に判断する事ができなくなります。

 

今は核家族化が進んでおり、親世代・子世代は各々独立して生活をしている場合が多いです。

年齢を重ねた親世代とのコミュニケーションは、適切に継続して行うことがとても大切です。

 

社会的証明の原理に関する事例については、以下で解説をしています。

▶️ 社会的証明とは?【人混みの中で倒れたらどうする!】身近に存在する事例を解説

返報性の原理に関する事例については、以下で解説をしています。

▶️ 返報性の原理とは?【贈り物をもらったら気をつけて!】身近に存在する事例を解説


いかがでしたでしょうか。

一貫性の原理とコミットメントについて、事例を交えながら解説をしました。

一貫性の面白さや恐ろしさが実感できたのではないでしょうか。

人はなぜ、そのような行動をしてしまうのか、もっと知りたくありませんか?

この記事が皆さまのお役に立てば幸いです。


【参考文献】影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか

 ロバート・B・チャルディー二 2021年6月5日 第31刷発行